リーズナブルな価格で、夢のマイホームを建てることができる「ローコスト住宅」が今、注目を浴びています。
しかし、どうしても気になるのがローコスト住宅の寿命。
できれば、永く住み続けられる長寿命の家を建てたいですよね。
この記事では、ローコスト住宅で「長寿命の家」を建てるために知っておきたいことをいくつかご紹介します。
ローコスト住宅とはどんな家?
そもそも、「ローコスト住宅」とはどのような家のことを指すのでしょうか?
ローコスト住宅とは、削ることのできるコストをカットし、それを価格に転嫁することでリーズナブルな価格で販売している住宅のことを指します。
住宅を建築する際には諸々のコストが生じますが、建築材料費、人件費をはじめとする各種経費をカットします。
このため、壁面を少なくしたり、和室をなくして洋室ばかりとしたり、部屋数を減らすなどして、シンプルな間取りとなっているのもローコスト住宅の特徴です。
浮いた費用を土地代にまわせる
一般的な住宅の坪単価が80万円から90万円ほどである一方、ローコスト住宅の坪単価は30万円から60万円ほどなので、従来の半額ほどで住宅が得られるといっても過言ではありません。
浮いた費用を土地代にまわすことで、より立地の優れた場所を選べたり広々とした土地を得やすくなるのもメリットです。
ローコスト住宅の寿命
家屋のコストを削ってしまえば、
「家の寿命が短くなってしまうのではないか?」
「壊れやすいのではないか?」
といった不安も頭を過るかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
ネットなどを眺めていても、「ローコスト住宅は壊れやすい!」等と不安を煽るような情報が多々ありますが、それらは間違いです。
その裏付けとなるのが、長期優良住宅として金利の引き下げや税控除が受けられるなど、
ローコスト住宅が「フラット35」の対象となっている事実です。
ではここからは、ローコスト住宅の寿命や耐久性について詳しく解説していきたいと思います。
ローコスト住宅の耐久性
ローコスト住宅の耐久性を考えたとき、「材料コストを削っている点」に大きな不安を覚えられる方もいるかもしれません。
しかし、数々の研究が重ねられて、耐久性に優れた建材が開発されているほか、より優れた建築技術も登場するなど、住宅の耐久性を向上させるための取り組みは日々進歩しています。
加えて、どのハウスメーカーも、「より長く住むことのできる丈夫な家」を提供しようと
努めているのですから、ローコスト住宅であっても、長く住むことのできる家であると考えるほうが自然でしょう。
ローコスト住宅の耐用年数
ローコスト住宅の耐用年数については、一般住宅と同様に考えます。
木造で30年程度、鉄筋コンクリートならば50年ほど、より長持ちするのであれば90年ほどを耐久年数の目安としておくといいでしょう。
実際には、材質や設計・立地や環境など諸々の要素が複雑に絡み合った結果として耐用年数が決まってくるのですから、「ローコスト住宅だから…」という画一的な見方に
捉われるべきではありません。
それ以上に気にすべきは、工務店の技術です。
加えて、「いかに丁寧な施工を行ってくれるのか」もポイントとなってくるでしょう。
今日あるローコスト住宅の耐久性への誤解が生じたのは、ローコスト住宅登場時に相次いだ欠陥住宅問題です。
賃貸用アパートを建設している大手企業が、コストカットしながら建築した結果、多くの欠陥住宅が誕生していたとの報道は耳に新しいところです。
住宅基礎の寿命(耐用年数)は?
住宅の建築が始まった現場を目にした経験がある方はお分かりだと思いますが、おおよその住宅の規模がわかるようになるのが、「住宅の基礎工事」が始まったタイミングです。
コンクリート打ちの基礎を見てみれば、おおよそ住宅のイメージがしやすくなるのではないでしょうか。
そのコンクリート打ちの住宅の基礎は当然、重ねて建築されていく住宅を支えるものなので大切な存在ですが、カタチがある以上、寿命があります。
一見、長持ちしそうに思える住宅基礎の寿命は約30年といわれていますので、おそらく皆さまの想像よりずっと短いのではないでしょうか。
フラット35での返済期間が35年であるのを考えれば、かなり不安を覚えるデータとなっていますが、これはローコスト住宅に限定した数字ではなく、一般住宅も含めた数字です。
ローコスト住宅のランニングコスト
住宅には、「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」の2つがあります。
ローコスト住宅の場合、前者のイニシャルコストは安くつきますが、気密性や断熱性が低いので、「ランニングコストが高くなる」という情報もネット上で目にします。
この根拠としては材質をコストカットした結果、リーズナブルな繊維毛断熱材のグラスウールを使っているので遮熱性が得られず、熱効率が悪くなり、ランニングコストに影響してしまうことなどが挙げられますが、これがすべてのローコスト住宅に当てはまるわけではありません。
ここまでローコスト住宅が注目されているのは、ハウスメーカーが安価でもよりクオリティーの高い住宅を提供しようとしてきた努力の積み重ねがあるからです。
よって、必ずしも「ローコスト住宅=高いランニングコスト」となるわけではありません。
メンテナンス費用
ローコスト住宅だからといって、メンテナンスをしなければならないタイミングが、従来型の一般的な住宅よりも早くるわけではありません。
基本的には、通常の建売住宅と同様であると思っておいても差し支えないでしょう。
通常の住宅におけるメンテナンスのタイミングとは、水回りが10年、内装は15年、屋根および外壁などは20年ほどが目安とされています。
これらのメンテナンス費用を抑えるには、普段から点検と掃除を行って住宅のコンディションを知っておくとともに、事前に専門家と相談しながら具体的なメンテナンス計画を立てるようにするのがおススメです。
リフォーム代
上でご紹介したのと同様、ローコスト住宅だからといって、リフォーム代がかさむわけでもありません。
しかし、多くのローコスト住宅がリフォームしやすいのは事実です。
壁面が少ない・部屋数が少ない・ゆとりある間取りは、ライフスタイルの変化に幅広く対応できるローコスト住宅ならではのメリットです。
リフォームは基本的に状況に合わせて行っていくものだけに、ローコスト住宅のリフォーム代を考える場合にも、一般的な住宅同様の考え方をするといいでしょう。
新築ローコスト住宅と中古一戸建て!どちらがオススメ?
一生に一度かもしれないマイホームの購入においては、大きなお金を動かさなくてはなりません。
だからこそ、ローコスト住宅がおススメなのです。
きっと多くの方が、
「自分のために建てられた住宅に住みたい」
「以前に誰も住んだことのない新品の家屋を手に入れたい」
と考えるでしょう。
そのようなとき、ローコスト住宅を選べば、妥協しなければならない点がグッと少なくなります。
建て替えが必要になることも
これまでご紹介してきたように、ローコスト住宅だからといって、既存の一般住宅より脆い、お金がかかる、といったことはありません。
しかし、どちらもカタチあるモノなのですから、いつかは建て替えが必要になる場合もあります。
そのとき、建て替えのしやすさは大きなポイントとなります。
簡単に言えば、建て替えが困難な設計の住宅であれば、余計に建て替え費用がかかってしまうのに対し、建て替えが簡単な住宅であれば、より安価に理想の住宅へと建て替えることができます。
この点について、ローコスト住宅であれば後者に該当しますので、いざという建て替えの際にも美味しい思いをできると期待できます。
ローコスト住宅おすすめハウスメーカー
ローコスト住宅は、いろいろなハウスメーカーからリリースされています。
ここからは、それらハウスメーカーのうち代表的な会社をご紹介していきますので、今後の参考にしてください。
ランニングコストを上下させる断熱材や、長く住み続けるために必須の耐震等級についても着目していきます。
アイフルホーム
アイフルホームは日本最大級の住宅フランチャイズであり、大手メーカー同様の商品開発力や資材調達力を誇っています。
フランチャイズ展開は、自ずと地域密着型の展開となるため、その地域の気候特性への理解、アフターサービスの充実などの強みを持っています。
アイフルホームが用いる断熱材として知られているのが「セシボ極」です。
大手ハウスメーカーの中でも最上位クラスの断熱性能を持っており、24時間冷暖房をつけっぱなしにして一定温度に保っても、かなり電気代は安くつきます。
耐震性については、日本住宅性能表示基準で定められている
3つの耐震等級のうち、最上位となる耐震等級3相当となるように設計しています。
アエラホーム
アエラホームはローコスト住宅で有名なタマホームより以前からローコスト住宅を取り扱っていたハウスメーカーです。
外張W断熱工法というオリジナルの断熱工法を採用しており、床には厚さ40mmの最高級フェノバボードを施すなどすることで、高断熱・高気密を実現しており、住宅のランニングコストを低減させています。
耐震等級については耐震最高等級であると公式ホームページ上に記載されています。
アキュラホーム
アキュラホームは「職人品質をもっと身近に」のコンセプトのもと、低予算でも高品質の住宅を提供しているハウスメーカーです。
膨大なデータベースをもとにしたアキュラシステムで顧客にピッタリの家づくりの提案を行い、中間マージンを排除、直接施工でコストカットした分を価格に反映させているため、良質なローコスト住宅を実現させています。
また、グッドデザイン賞やキッズデザイン賞を受賞するなど、外観においてもこだわりを持ちながら、耐震等級は最高レベルの3を誇っています。
ヤマト住建
ヤマト住建は、長寿命・広い・安い・高性能・高い資産価値の5つを持った家づくりを追求することをコンセプトとしており、木造軸組工法・金物工法・パネル工法を組み合わせることで高い耐震性を実現しています。
耐震等級は最高レベルとなる3を誇っていますが、その実現に一役買っているのが、制振ダンパーevoltzであり、地震が発生してから揺れ始める前に機能して揺れを吸収する代物です。
長寿命のローコスト住宅を建てるために
みなさんに共通しているのは、「できるだけ長く住むことのできるローコスト住宅を手に入れたい」という想いではないでしょうか。
そのようなときに便利な判断基準となるのが、「住みやすさ」です。
住んでいて快適だと思える居住環境は、その家屋が居住に適した設計であることを意味しているため、自ずと長持ちしやすい住宅となります。
住みやすさとは、とても直観的な判断材料となるため、ローコスト住宅を建てる際の基準としておけば、より理想に近い住宅を手に入れやすくなるでしょう。
1.工法ごとの耐用年数(寿命)を知る
やや専門的な話となりますが、工法ごとの耐用年数を知っておけば、住宅取得についてより具体的なビジョンを抱きやすくなります。
木造住宅の耐用年数
木造住宅の法定耐用年数は22年となっていますが、実際にはもっと住み続けられるため、ちょっと検索してみれば、木造住宅の耐用年数目安は30年であるとの記述をよく目にします。
しかし、これもまた設備や仕上げ材の寿命を考慮した数字なので、目安に過ぎません。
構造体までを考慮すれば、80年は住めるとの意見もあります。
軽量鉄骨造の耐用年数
軽量鉄骨造の法定耐用年数は、軽量鉄骨の厚みが3~4mmのものは27年、3mm未満のものは19年となっていますが、木造住宅同様に、実際にはもっと長持ちします。
しかし、材質の特性上、水分に弱いので、しっかり建てられた木造住宅よりは劣るとの声も少なくありません。
2.建てる家の断熱性を知る
家屋の断熱性はランニングコストに直結します。
断熱材としてFPパネル、高性能硬質ウレタンフォームなどが知られていますが、それらについても詳しい知識を持って置けば、より理想に近い住宅取得を実現できることでしょう。
断熱材は?
よく見かける断熱材として、「FPパネル」と「高性能硬質ウレタンフォーム」あります。
FPパネルとは、屋根、壁、床など場所を問わず使用できる素材であり、優れた断熱性、気密性、高い遮熱性を持っています。
グラスウールの2倍近い断熱力を誇っており、材質も丈夫なので耐震性にも優れた住宅づくりに重宝されます。
高性能硬質ウレタンフォームも同じく優れた断熱力を持っていますが、細かな施工にも対応しやすいのが特徴です。
例えば、窓枠周辺にまったく隙間が生じないように施工するときに高性能硬質ウレタンフォームはとても便利です。
Q値は?
住宅の断熱性を見る上で、「Q値」はとても便利な指標となります。
ハウスメーカーのホームページなどを眺めても、Q値がどれほどかアピールされていますが、基本的にはQ値の数字が小さければ小さいほど断熱性に優れていると覚えておくといいでしょう。
3.建てる家の耐震性(耐震等級)を知る
地震大国である日本だからこそ、長く住むには耐震性を備えていなければなりません。
ハウスメーカーは各社とも「耐震性に優れた住宅」を提供することに努めていますが、素人には工法だけで耐震性が優れているかどうかわかるはずもありません。
そのようなときに便利な指標となるのが、「耐震等級」です。
1~3までの等級に分かれており、最も耐震性が高いとされるのが耐震等級3の住宅です。
ハウスメーカーを選ぶ際には、耐震等級3であるかどうかのみチェックしていけば、耐震性に優れているかどうかの判断ができます。
4.アフターサービスの充実度はどうか
住宅を購入して住んでみれば、それまで気付かなかった欠陥に気付くこともあります。
また、何かしらの原因で欠陥が新たに生じてしまう場合もあるでしょう。
そのようなとき、アフターサービスが充実していれば、スムーズな対応を受けられますので、より快適な住環境の保持へとつながっていきます。
5.信頼のできる営業担当者か
ハウスメーカーはそれぞれ魅力を持っていますが、それを最大化してくれるのが営業担当者です。
営業担当者はハウスメーカーと私たちの間に入って動くのですから、信頼できる人物でなければ不安が募るばかりとなってしまうでしょう。
ハウスメーカーを選ぶ場合に限らず、営業担当者がどのような
人物であるのかしっかり見極める必要があります。
ローコスト住宅はどこに依頼するべき?
ローコスト住宅を依頼する場合、ハウスメーカー・地元工務店・建築家の3者が主な候補となっていきます。
以下にそれぞれについて簡単にご紹介してみます。
1.ハウスメーカー
ハウスメーカーは数多くの住宅を建築していますが、ローコスト住宅についても得意・不得意がありますので、事前にしっかりと情報収集する必要があります。
ハウスメーカーにとって住宅は商品なので、外観がオシャレなデザインのものが多いのが特徴的です。
反面、規格単価が決まっているので、思い通りの設計がしづらいのが難点といえますが、
これについてもハウスメーカー選びでいくらかカバーできます。
2.地元工務店
地元工務店は地域に密着しており、その地に適した住宅を建てるのを得意としていますので、長く住み続けられる家を得やすいといえます。
地域に密着している以上、地域からの信頼がもっとも大切なので、丁寧な工事を期待できます。
どこにどれだけ予算をかければ、どのようになるか、など柔軟性があるのも魅力です。
3.建築家(設計事務所)
建築家にローコスト住宅を依頼すると高くついてしまうとの情報も多く見られますが、実際にはそのようなことはありません。
予算に応じた設計を行ってくれるので、一定の機能を持ったローコスト住宅を手に入れることは可能です。
建築家ならではのアイデアも期待できるため、通常では得られない付加価値を得られる可能性もあります。
まとめ
ローコスト住宅は、決して安かろう悪かろう、ではありません。
大手ハウスメーカーも積極的に商品開発を行っており、ローコスト住宅であっても断熱性や耐震性に優れた住宅を手に入れられるようになっています。
これまでご紹介してきたように、ローコスト住宅を得るために、長く住み続けられる家を得るために、気にかけなくてはならないポイントは多々ありますが、一生に一度あるかないかの買い物なのですから、時間と手間をかけながらしっかり情報収集して失敗のないよう一歩ずつ夢のマイホームまで歩んでいきましょう。
自力での情報収集にもそのうち限度を覚えるかもしれませんが、そのようなときはローコスト住宅を取り扱っているハウスメーカーや地元工務店、建築家などに相談してみるのがおススメです。
専門家ならではの観点よりアドバイスしてくれますので、よりスピーディーに物事を進められるようになりますよ。