現代の日本では、高齢者の孤独死が社会問題になっています。
核家族化が進み、親族がいるにも関わらず孤独死を迎える人も多いそうです。
そんな中、二世帯住宅は、親に子育てをサポートしてもらえるというメリットもあり、期待が寄せられています。
ただ、二世帯住宅が良いことばかりなのかというと、現実は様々な家族間トラブルを招いていて、ストレスの要因となっている家庭も少なくありません。
しかし、だからといって悲観する必要はありません。
問題を事前に把握さえしていれば、トラブルを回避する方法を見つけることができるからです。
この記事では、二世帯住宅のトラブルを防ぐ方法について詳しくご紹介したいと思います。
実録!二世帯住宅トラブル体験談(事例・実例)
現在二世帯住宅にお住まいの方を対象に、実際にあった二世帯住宅トラブルの体験談を伺ってみました。
これから二世帯住宅を建てる予定の方は参考にしてみてくださいね。
間取りでトラブル!気苦労の多い生活
<50代女性・はやてさんの体験談>
主人の両親との二世帯住宅を建てました。
私たちが結婚するときに両親が同居したいというのでそうなりました。
一階は主人の両親の部屋とともに使う共通エリアでした。
2階は私たち夫婦の部屋でした。
1階の共有エリアは、キッチン、居間、風呂、便所、主人の両親の寝室。
仏間、客間でした。2階にトイレはありませんでした。
両親の友達や親せきが土曜日・日曜日にこぞって早朝から訪ねてきていました。
便所も洗面所も2階にないために、その両日は、ゆっくり起きてトイレに行こうとすると両親の友達や親せきがきていて起きてすぐに顔をあわせなければいけなかったのです。
これがとてもストレスになりました。
朝寝をしていたことが見られるしで罰が悪かったです。
そんなことが積み重なってストレスがどんどん溜まりました。
便所や洗面所は2世帯別々に作っておいたら良かったと後悔しています。
そのほかにもキッチンなども別々にあれば快適な2世帯住宅です。
なかなか意見がまとまらずトラブルに
<30代女性・もちもちさんの体験談>
旦那の強い要望で、旦那側のご両親と相談して、お互いにお金を出し合うことで二世帯住宅を作ることになりました。
注文住宅で作ることになったので、両家で間取りの相談を始めたのですが、お互いにお金を出すので、自分の思い通りの間取にしたくなってしまい、間取りの意見がまとまらず揉めてしまいました。
ご両親は大きなリビングで子どもたちと遊びたいそうなのですが、大きなリビングを作ってしまうと、私達夫婦や子供のための部屋が作れなくなってしまうために、私と旦那は反対しました。
結局住宅やさんの勧めで、あとから部屋を小分けに出来るような構造の間取りにすることで、なんとか着地することが出来ました。
工務店の方がおっしゃていましたが、よくあるトラブルだそうです。
お互いに長く住む家なので仕方が無いことなのでしょうね。
夫婦仲でトラブル発生!?
<30代男性・MRTさんの体験談>
両親が住んでいる所が田舎で、今後の病院が通いや日々の生活にこまるだろうという事で二世帯住宅を建てました。
いくら両親といえども、今まで別に生活していたのが急に同居となるとプライベートがなくなるなと痛感しております。
両親用のミニキッチンを部屋につけたのですが、今思えば玄関、浴室、トイレ等すべて2つにし完全に分離された二世帯住宅にするべきだったと思います。
私の両親なのでまだ我慢は出来ますが、妻がストレスが溜まっているようで夫婦の仲もすこしギクシャクしてきたように感じます。
今更別居も出来ないのでリフォームをするかを考え始めています。
建築費用を抑えたいが為に妥協をするよりは、一生の買い物ですので後悔のないようにしたほうがよいと思います。
工事費用の節約が仇に?
<50代男性・けいじさんの体験談>
お風呂を1階の1カ所のみにしました。
工事費用を安くするためです。
しかし、二世帯住宅を建ててから子供の数が3人増えて、世帯の人数が増えました。
そのため、お風呂が一つでは足りません。
そして、大人数が入るのでお湯が汚れます。
途中でお湯を抜いて入れ替えています。
お風呂は2カ所必要だなと思いました。
子供が大きくなったり、親世代が高齢になるとより不便さを感じています。
お風呂場は、親世代の寝室のそばに作りました。
夜遅くにお風呂に入ると、寝ているときにお風呂に入る音がうるさく感じます。
気を付けなくてはなりません。
のんびりしたいお風呂で、お互いに気を付けたり入る順番があるので急いだりしなくてはいけないので苦痛に感じています。
二世帯住宅は「こんなはずじゃなかった」トラブルの連続
一口に二世帯住宅といっても、二世帯住宅には様々なスタイルが存在しています。
例えばサザエさん一家のように、完全に同居の形を取っているものもあれば、1階と2階とで分かれて生活をするといったものもあります。
どちらの世代も、「互いに用事があるときに便利で、すぐ近くにいることが心に安心感を生むだろう」などと理想的な生活を描いて、二世帯住宅での同居をスタートします。
特に男性側は、どうにかなると思いがちなのではないでしょうか?
ところが、いざ始まってみると次々とトラブルが起こり、「こんなはずじゃなかった…」ということの連続です。
よくあるのは、ライフスタイルの違いから生まれるストレスです。
子供世代は就寝時間が遅いため、親世代が寝る時間になっても家の中から物音がするので、それが気になってなかなか寝付くことができません。
また、子供世代は休日の朝はゆっくり寝ていたいのに、親世代は早朝から活動するのでストレスを感じることも。
こんな具合に、小さなイライラや不満が毎日の生活の中にどんどんと蓄積されていきます。
やがて大きなストレスとなり、「同居なんてするんじゃなかった…」という結論に至って
しまいます。
これでは互いにとって不幸ですよね。
意見の食い違い?最大のストレスは子育て期間にアリ
二世帯住宅での同居に於ける最大のストレス・トラブルは『子育て』を始めるようになってから現れます。
それは、子供に対する教育方針の対立です。
夫婦間でさえ難しい問題なのに、そこに祖父母が入ってくるのです。
しかも孫は祖父母にとって甘やかしたくなる存在です。
いくら困ると言っても、止められないものなのでしょう。
こういった話は昔からよく聞きますよね。
この問題はもちろん夫婦の間でも火種となります。
発展すれば夫婦の仲に亀裂を生み、トラブルを引き起こしてしまうこともある重大な事案です。
共用スペースの取り方次第で円満な二世帯住宅に
このようなトラブルを生まないためには、二世帯住宅の共用スペースの取り方を工夫することが重要になってきます。
二世帯住宅の共用スペースを少なくすれば、お互いに顔を合わせる機会が減りますので、無用な衝突やトラブルを予め避けることができます。
具体的には、サザエさん一家のような完全な同居スタイルをやめて、動線が交わる部分を減らすのです。
もし1階と2階で住み分けるのなら、玄関も別にして食事や入浴の時だけ1階に降りるという方法でも良いでしょう。
玄関は1つでも、キッチンやトイレなどを2階にも作るというパターンもあります。
このような『一部共用型の二世帯住宅』はとても多いので、新築したりリフォームしたりする際は、様々な事例から学ぶことができます。
最近二世帯住宅で増えつつあるのは、完全に独立する『完全分離型の二世帯住居』です。
簡単にいうと、全く別の家2軒が隣り合い、くっついた状態で建てられている二世帯住宅です。
玄関からキッチン、トイレ、お風呂も完全に別なので、それぞれの世代が相手のことを気にせずに自分達のペースで生活をすることができます。
気軽に行き来もできるので、家族としてのつながりも十分に感じられるというメリットがあります。
かさむ建築費は配置の変更で調整を
完全分離型の二世帯住居に問題があるとすれば、それは『建築費が高くつく』ということです。
完全同居タイプの二世帯住宅と比べると、500万円から1,000万円は高くなると言われています。
予算的に厳しい家庭もあるのではないでしょうか。
そんな時は、間取りや共用設備の配置を調整して、一部共用型でもそれぞれの生活空間を分けて互いの存在が気にならないようにすることをオススメします。
それぞれのプライベート空間から共用スペースへの動線が交わらないようにしたり、共用スペースを中央に配置して玄関を反対側に設置したりする方法もあります。
二世帯住宅だと相続税が軽減される?
トラブルや不安ばかりに目がいってしまいがちな二世帯住宅ですが、実は思いがけないメリットもあります。
それが『小規模宅地等の特例』の適用です。
通常、両親のどちらかがが所有する土地に家を建てた場合、親が亡くなり土地を相続する際、『相続税』という税金の支払い義務が発生します。
しかし、親と同居をしていた親族が土地を相続する場合は、『小規模宅地等の特例』という特例が適応され、土地の評価額を8割下げ、結果的に相続税を軽減させることができるのです。
支払わなければならない相続税が8割も安くなると考えた場合、大きなメリットだといえるのではないでしょうか。
トラブルのない二世帯住宅を建てるために
二世帯住宅を建築する家庭の多くは、建築費を半分ずつ出し合って建てています。
同居がスタートしたら、どんなトラブルが起きる可能性があるのかも含めてしっかりと話し合い、それぞれの意見を汲んだ二世帯住居にするのが望ましいでしょう。
自分達で納得するまで話し合って出した結論ならば、ある程度のトラブルも我慢できるというものです。
そして、お互いに気持ちよく生活できる二世帯住宅を目指してみてくださいね。